手外科センター

2025年4月1日に、手外科センターを新設いたします。
手外科センターでは、山王病院の整形外科より、手関節疾患治療の経験豊富な専門医が着任いたします。

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当科からのお知らせ

概要

手は脳の領域中で、顔に次ぐ広い感覚領域および運動領域を占める重要な器官です。上肢の3大関節である肩関節、肘関節、手関節(手首)は、手を対象に到達させ、かつ手を保持する機能を持ちます。何かの操作をする際には手指を必ず使うため、手に障害があると日常生活に大きな支障を生じます。
手外科では上肢の関節のうち、肘関節、手関節(手首)、手、指および上肢の末梢神経、腱、血管などを扱います。さらに、腕神経叢麻痺や胸郭出口症候群などの肩甲帯の神経・血管障害の治療を行っています。当センターでは、最新の知識に基づき丁寧に診療し、保存療法から手術治療までを行っています。

主な対象疾患

  • 肘関節疾患(肘関節内遊離体、野球肘、上腕骨外側上顆炎(いわゆるテニス肘)、上腕骨内側上顆炎(いわゆるゴルフ肘)、上腕骨骨折、肘頭骨折、Monteggia脱臼骨折など)
  • 手関節疾患(橈骨骨折・変形治癒、TFCC損傷、舟状骨骨折・偽関節、変形性手関節症、母指CM関節症、舟状月状靱帯損傷・舟状月状解離、キーンベック病など)
  • 手指疾患(手指腱鞘炎・ばね指、中手骨骨折、基節骨骨折、マレット指(槌指)、へバーデン結節、ブシャール結節、母指MP関節側副靱帯損傷)
  • 神経疾患(手根管症候群と正中神経麻痺、肘部管症候群と尺骨神経麻痺、橈骨神経麻痺、前骨間神経麻痺、後骨間神経麻痺・腕神経叢損傷など)
  • その他の上肢の運動器障害(筋肉・神経・胸郭出口症候群)
  • リウマチ性疾患(関節リウマチ、膠原病関連関節症)
  • 先天性疾患(合多指(趾)症など)

手外科センターで行う代表的な治療について

肘関節疾患

肘関節疾患には、肘関節の骨折や靱帯損傷などの外傷によるものと、スポーツなどの反復使用による障害があります。当センターでは、肘関節鏡を用いた鏡視下手術を得意としており、肘関節炎、肘関節内遊離体、野球肘(上腕骨離断性骨軟骨炎)、テニス肘、肘関節拘縮などの治療を行っています。

手関節疾患

鏡視下TFCC縫合術
図1 鏡視下TFCC縫合術
ECU半裁腱を用いたTFCC再建術
図2 ECU半裁腱を用いたTFCC再建術

手関節疾患に関して、日本各地の医療機関から紹介いただき、多くの患者様を診察しています。三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷については、保存療法、手術療法ともに良好な成果を収めており、一般の方はもちろん、スポーツ選手などの手術加療にも実績があります。
手関節の内視鏡視下手術は、近年さかんになってきている術式です。創(きず)が小さいので患者様の身体への負担が少なく、復帰までの時間も従来の手術に比較して非常に早いため、特にスポーツ選手などに適しています。手関節の内視鏡下手術の対象疾患としては、TFCC損傷、橈骨遠位端関節内粉砕骨折、手関節炎、変形性手関節症、手関節拘縮、母指CM関節症、舟状骨偽関節などがあります。
TFCC損傷は、手首の小指側に存在する線維軟骨-靭帯複合体に生じる損傷です。転倒やスポーツ障害によって単独に生じる場合と橈骨遠位端骨折に合併する場合が多く、頻度の高い疾患です。手首の小指側の疼痛・運動痛や回内外制限、手関節の緩みなどの症状を訴え、日常生活に支障をきたします。診断と治療には内径1.9mmの小関節鏡が必須で、TFCCを鏡視下に縫合(図1)または部分切除します。重症例では直視下にTFCCを縫合する手術や腱を用いての再建手術(図2)を行います。いずれも、当センターのオリジナルの術式です。

鏡視下母指CM関節形成術
図3 鏡視下母指CM関節形成術

母指CM関節症は母指の根本に生じる変形性関節症で、経年変化によって生じます。夜間装具による保存療法を行いますが、症状の改善が得られない場合には、手術療法を選択します。従来は関節を固定する手術と大菱形骨を切除し、自分の腱で関節を安定化させる手術が行われていましたが、当センターでは手関節鏡視下にCM関節を部分切除し、人工靱帯で母指を安定化させる手術(鏡視下suspension形成術)を行っています(図3)。手術時間はかかりますが、患者様への負担が少ない小侵襲の術式です。

舟状骨骨折・偽関節

舟状骨骨折は手根骨骨折では最も頻度が高い骨折ですが、症状に乏しく、陳旧例となり偽関節(骨が癒合しない状態)になりやすい外傷です。偽関節になると、将来的な変形性手関節症へと進展するため、手術加療が必要となります。当センターでは、血管付き骨移植術や関節鏡視下での骨移植術を行っています。

舟状月状靱帯損傷

有頭有鉤靱帯を用いた舟状月状靱帯再建術のX線写真
図4 有頭有鉤靱帯を用いた舟状月状靱帯再建術のX線写真

舟状月状靱帯損傷は舟状骨骨折と同じような受傷機転で生じますが、こちらの方が格段に治療がむずかしい外傷です。舟状骨骨折同様に症状が乏しいため、陳旧例となってから受診される患者様が多いです。陳旧例となると、手関節(手首)の骨の配列異常が生じるため、将来的には変形性手関節症へと進展し、手術加療が必須となります。当センターでは、骨付き有頭有鉤靱帯を用いたオリジナルの再建手術(図4)を行っており、良好な手術実績を残しています。

手根管症候群

関節外内視鏡の対象として、手根管症候群(母指から環指へのしびれ、母指の対立障害を生じます)が挙げられます。また、手根管症候群に対する内視鏡治療でも良好な成果を上げています。手根管症候群に対する内視鏡視下手根管開放術は、2か所の術創より器具を挿入して行う2-portal法を行っており、安定した手術実績があります。

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