夏風邪か、コロナか?
まだ8月か・・・今年は6月に梅雨が明け、6月中から猛暑の季節が始まりましたので、夏が長く感じて仕方ありません。私の気持ち的には、梅雨が明けて1か月たったから、もうそろそろ夏が終わるぞという感じなのですが、どんでもない、これから夏の最盛期なんですね。この感じ、どこかで同じような思いをしたな、と考えたら、コロナがそうでした。そろそろ収束かと思っていたら、とんでもない、強烈な第7波が来てしまいました。7月初めには、じわじわと増えているという感じでしたが、その後2,3週間であっという間に増え、東京の新規感染者数は、毎日数万人にのぼっています。東京都の人口は1400万人ですので、1日3万人が罹患したとすると、毎日人口の0.2%、1週間なら1.4%、1か月なら6%、つまり17名に1名が毎月感染してることになります。当院の発熱外来でも、熱発や、強い咽頭痛がある人は、大多数がPCR陽性ですので、かなり広がっていることは日常診療でも実感しています。現時点では、発熱がある患者さんの一番多い原因は、コロナです。
この新規感染者数、メディアで盛んに耳にする数で、皆がその増減に一喜一憂しているわけですが、必ずしも実態を表しているわけではありません。新規感染者数として報道されるのは、あくまでPCRを実施して陽性が確認され、医療機関から保健所に届け出のあった人の数です。感染していても無症状だとか、軽い症状だけの場合には、普通はPCRを受けませんから登録されず、新規感染者には含まれません。また無料PCR検査センターなどで陽性と判定されても、その後に医療施設を受診しなかった場合は、自己申告しない限り保健所に報告されませんから、やはり新規感染者数には含まれません、つかり、実際には報道されるより何倍も多い新規感染者がいる可能性が高いのです。特に第7波の主役であるBA.5は感染力が強いうえに、今回は政府が行動制限を実施しなかったので、感染の機会はうんと増えているはずです。一方でコロナウイルスも変異を繰り返すにつれて弱毒化しており、現在のオミクロン株は、一部で重症化もあるものの、基本的には風邪のウイルスに近くなっています。したがって、ちょっと鼻水が出るとか、喉がいがらっぽい、いつもの夏風邪かな、と思う場合でも、実はコロナに感染していたのかもしれません。その時にPCRを受ければコロナ感染と診断されるのですが、受けなければただの風邪と思ってしまう。でも、それこそコロナウイルスの本来の姿。コロナウイルスは元来ふつうの風邪の原因だったのです。
皆さんを怖がらせようと、こんな話を書いているのではありません。むしろ安心していただこうと思っています。ワクチンを打つか、軽くコロナに罹るかして、コロナウイルスに対して抵抗力を持つ人が人口の大半を占めるようになると、集団免疫が達成され、コロナ第7波は収束します。
来月、9月1日にこの記事を書いている頃には、秋風が吹いて長い夏もようやく終わりを迎えている、コロナも第7波が収束に向かっている、という記事が書けますように、願ってやみません。
山王メディカルセンター院長 リウマチ・痛風・膠原病センター長
山中 寿
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