
私は、毎年4月に桜の話題を書いてきましたが、今年はそれどころではありません。新型コロナウイルスが広がり、社会の成り立ち自体に大きな影響を及ぼしています。新型コロナウイルスが蔓延し始めて以来のマスコミ報道の動きは興味深かったです。最初は、どこか他人事のような雰囲気があり、いわゆるワイドショー的話題でした。専門家を称する人々の意見が幅を利かせていましたが、人々の行動を制限する必要性が生じる重大事態になって、本当の専門家の意見を重視するようになってきました。
たしかに新型コロナに関してはわからないことが多く、漠然とした不安や現実的な不便がいっぱいあります。しかしながら、少し見方を変えて、この度の騒動のプラスの面も見ていてはどうかと思います。実は、今回のコロナ騒動で、改めて気が付いたこと、わかったことがいっぱいあります。
- テレワークで済む仕事がこんなにたくさんある、通勤しなくて済む人がこんなにいるんだということ。
- 家族と過ごす時間が増えた。必ずしも良いことばかりではないが、これが本来の形である。
- 時差通勤が一般化し、早寝早起きの健康的な生活リズムになった。
- インフルエンザ罹患が大幅に減った。花粉症も減っているような気がする。手洗い、マスクが一般化した結果ではないかと思われる。
- 健康のありがたさがわかった。
- 行動が制限されて経済リスクが増大し、経済はフローが必須であることがよく分かった
- 消費することにより経済が成り立つ都市型生活のリスクを自覚した。
- そして、町が静かになり、空気がきれいになり、まぶしい青空が戻ってきた。経済活動が低下して、大気汚染が改善したと思われ、長年の問題であるCO2排出量も減少したはずである。
人類は、過去の数百年にわたって地球の環境を破壊し、地球を痛めつけてきました。それがあまりにひどいので、わが地球が機嫌を損ねているのではないかと思ってきました。考えてみれば、新型コロナウイルスに対して真摯に対応することは、地球環境にとってプラスになることが多いように思います。つまり、今回のコロナウイルスは、驕り高ぶり地球を痛めつけ続けている人類を罰するために地球が与えた使徒かもしれないと思います。
新型コロナウイルス感染に対する正しい知識を持ち正しく対応すること、今、我慢するべきことは我慢すること、そして、社会生活や活動に課せられた制約の意味を考えることは、これから我々人類と地球のかかわりを考えるうえで、極めて重要なのではないかと思い至りました。
皆様も、今回の外出制限などで、いろいろと思索ができる時間が増えたはずです。考えること自体に意味があります。皆さんはどのように考えられますでしょうか?
山王メディカルセンター副院長 リウマチ・痛風・膠原病センター長
山中 寿