やっと秋らしい涼しさが訪れました。私もやっと通勤時にジャケットを羽織るようになりましたが、まだカッターシャツは半袖のまま。地球上のいたるところで平均気温が上がっているようで、地球温暖化は日常生活でも実感できるレベルに達しているようです。
平均気温が上がると、病気がどうなるか。WHOの専門家は、熱帯地方に多い感染症が、温帯地方にも広がると予想しており、特にマラリア、デング熱、脳炎、腺ペスト、コレラの5疾患には注意せねばならないと警告しています。現在の社会はとても衛生的になりました。皆が無菌化されたペットボトルの水を飲み、無菌パックに入った食品を食べるようになり、大腸菌などの感染症の罹患率は減っているはずです。しかし、細菌にさらされていない分だけ、細菌感染に対して弱くなっている可能性が指摘されています。おまけに今まで経験したことのない、上記のような感染症が持ち込まれると、あっという間に広がる可能性も否定できません。これらの多くは蚊により媒介される感染症です。特に、リウマチなどで免疫を抑制する薬剤を使っている方々は、海外旅行で熱帯地方に行かれる場合には、衛生面に十分に注意していただきたいと思います。
先日の国連温暖化対策サミットでも、各国の思惑には大きな温度差があったようで、地球全体で温暖化に取り組む状況には全くなっていないようです。人類が活発に活動すればするほどCO2などの温室効果ガスは増えます。つまり、経済活動が活発になるほど、皆がお金を使えば使うほど、地球の平均気温が上昇する結果になります。地球上の人類がいつまで生存できるか、そのために一人一人に何ができるのか、そんなことが議論され始める時代を迎えているようにも思います。
最近、ホーキング博士の最後の著書である「ビッグ・クエスチョン」を読みました。目からうろこが落ちるような話が満載で、とても感激しましたが、特に、地球絶滅の可能性が高いことが様々な視点から書かれていて、本当に考えさせられました。人工知能AIが発達して、自律的に行動するようになったら、AIは、地球を守るために人類を絶滅させるだろうとのこと。確かにそうかもしれないと思いました。宇宙には無数の天体があり、たぶん地球のような惑星も無数にあり、地球の我々よりはるかに進んだ文明を持つ惑星があるはずなのに、他の天体から誰も地球にはやってこない。たぶん、他の天体に到達できるような高度の文明をもった星は、環境破壊や核兵器などで自滅してしまうのではないかと思います。そして、地球も、まさにその道を歩んでいるのではないか、と思います。太陽の寿命はあと50億年、地球の寿命もその程度だそうですが、地球が、物理的に与えられた寿命を全うする可能性は極めて低いように思えてきました。その時が1億年先なのか、ひょっとすると300年先かもしれません。真剣に考えねばならない時代を迎えているように思います。
楽しくない話になってしまい、申し訳ありません。秋の夜長のひとつの話題提供とお考え下さい。
これから秋が本格化し、過ごしやすい日々を迎えます。ただし朝夕など冷えるようになりますので、体調管理には十分ご注意ください。
山王メディカルセンター副院長 リウマチ・痛風・膠原病センター長
山中 寿