新・リウマチ歳時記 Vol.2(2019.9.2)

2019年09月02日 大切なお知らせその他

ようやく9月になりました。8月は夏休みの季節。学校もお休みで、街も静か。お盆に先祖の供養をしたり、戦没者に対する慰霊、鎮魂の行事があったりして、心穏やかに過ごすべき月です。本来であれば。

しかし、今年は梅雨明けが遅く、その後は猛暑あり、台風あり、豪雨あり、災害あり、日韓問題あり、米中問題あり、とても気ぜわしい、そして心の痛む1か月でした。被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
最近では、物事が重大かどうかは、衝撃的な画像があるかどうかで決められています。監視カメラや車載カメラが増えたうえ、皆がスマホを持ち、誰でも動画を撮影できる世の中になったための現象でしょう。視覚に訴えるものほど、パッと見てわかりやすいので、ついそうしてしまうテレビ局の気持ちを理解できなくはないですが、本当にそれでいいのだろか、といつも思います。

「いちばんたいせつなことは、目に見えない」(サン=テグジュペリ)。

お盆休みに滋賀県の実家に帰省し、墓参りをしてきました。お寺には先祖代々の御霊を納めたお墓も多いのですが、旧陸軍の階級や戦没地が記された戦死者を祀るお墓もたくさんありました。翌朝、私が子供のころに遊び暮らした山に登りました。昔の私たちの遊び場であった大きな石塔には、日清戦役忠魂碑と深々と記されていて、裏面には戦死者の芳名がたくさん彫られていました。頭上から降るような蝉しぐれが、お寺の読経の声のようであり、思わず手を合わせました。今、私たちが幸せな、異論はあるにせよ歴史的にみれば圧倒的に幸せな、社会生活を送れていることは、実に多くの先人の犠牲の上にあるのだ、そこに胡坐をかいたり、寝そべっていてはいけない、と心から思い、静謐な気分になって山を下りました。

今年の4月末に37年勤務した東京女子医科大学を退職し、5月から山王メディカルセンターに勤務しています。山王メディカルセンターは地下鉄青山一丁目駅からすぐ近くで交通も至便、内装も豪華で、とても落ち着いた雰囲気の病院です。東京女子医大では診療だけではなく、研究、教育、さらに組織の運営に多大な時間を使い、とても多忙でしたが、山王メディカルセンターでは今のところ診療中心の勤務であり、以前よりずいぶん落ち着いた雰囲気で患者さんの診察ができています。このような環境にいられることに、感謝の念が堪えません。

たぶん今は「嵐の前の静けさ」、「つかの間の静寂」かもしれませんが、今、私は忙しくない分だけ、脳に空間を作り、心を落ちつけ、透明な目を持って、ものごとのありようを見てみたいと思います。
「とても簡単なことだ。ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。」(サン=テグジュペリ)。
私には、とても簡単なことだとは、とても思えないのですが・・・

不順な天候が続きます。くれぐれも健康にご留意くださいますように。

山王メディカルセンター副院長 リウマチ・痛風・膠原病センター長
山中 寿

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