子宮頸がんワクチン~定期接種は小学校6年生から~
ヒトパピローマウイルス(HPV)に対するワクチンです。このウイルスは子宮頸がんだけでなく、男女ともに咽頭がんや尖圭コンジローマの原因になります。また、母子感染症として、感染した母体から出生した赤ちゃんののどの腫瘍(若年性再発性呼吸器乳頭腫症)の原因になることがあります。
子宮頸がんは日本では毎年約8500人が発症し、約2500人が死亡しています。近年は20-30代の若い女性でも増加していることからmother killerと呼ばれます。
日本では小学校6年生(12歳相当)から高校1年生(16歳相当)までが定期接種の対象です。
スウェーデン、デンマークなど積極的に接種している国では、ワクチン接種を受けた世代の女性における子宮頸がんの発生数がおよそ90%減少しています。特に17歳になるまでに接種した場合の効果が明らかであるため、若年での接種が効果的と考えられています1)2)。
2023年4月から、9価ワクチンの定期接種(公費での接種)が始まり、初回接種が15歳未満であれば2回接種で終了できるようになりました。また、2価ワクチンもしくは4価ワクチンで接種を開始した方が9価ワクチンに切り替えることも可能となりました。
(厚生労働省HPより)
以前には子宮頸がんワクチン接種後に、注射部位から広範囲に広がる痛みや手足の動かしにくさ、不随意運動(動かそうと思っていないのに体の一部が勝手に動いてしまうこと)等の「多様な症状」が起きたことが報告されました。しかし、ワクチンの成分自体とこれらの「多様な症状」の因果関係は証明されていません。
ご心配、ご不明な点がございましたら、小児科外来またはお電話にてお気軽にお問い合わせ下さい。また、ご予約はwebからも可能です。
https://medicalpass.jp/departments/5120
なお、積極的接種勧奨が控えられていた時期の方(平成9年度生まれ~平成18年度生まれ)には無料でキャッチアップ接種が可能となっています。キャッチアップ接種は当院女性医療センター/女性腫瘍治療婦人科部門(電話 03-6864-0489)にて承っておりますのでご相談下さい。
また、子宮頸がんワクチンを接種しても子宮頸がん検診は必要です。成人になったら必ず子宮頸がん検診を受けるようにして下さい。
子宮頸がんと子宮頸がんワクチンに関する正しい理解のために(日本産科婦人科学会HPより)
文献
1) Lei J, et al. HPV Vaccination and the Risk of Invasive Cervical Cancer. New England Journal of Medicine. 2020; 383(14): 1340-1348
2) Kjaer SK, et al. Real-World Effectiveness of Human Papillomavirus Vaccination Against Cervical Cancer. J Natl cancer Inst. 2021; 113(10):1329-1335