新・リウマチ歳時記 Vol.10(2020.5.1)

2020年05月01日 新・リウマチ歳時記

新型コロナウイルスの蔓延により緊急事態宣言が出され、皆がStay Homeを余儀なくされています。新しいウイルス、未知の病状、治療薬やワクチンの欠如、経験のない社会的な制限や行動自粛、そして見通しが分からない不安。すべてが初めて体験することばかりですから、やってみないとわからない。いろいろと不満や批判もありますが、情報の真偽を判断し、その時々に最善と思われることを行うしかないと思います。

新型コロナウイルス感染症では、基礎疾患のある方のリスクが高いと言われてきましたので、受診中の患者さんは心配をされていることと思います。私は、患者さんのリスクについて、診察室で個別にお話ししてきたのですが、4月にNHKからお声がかかり、「新型コロナウイルスについて医師が伝えたいこと」というシリーズの中で、リウマチについてお話しさせていただきました。5分間の短い番組なのですが、4月16日からNHK総合で繰り返し放映されています。是非ご覧ください。

その内容を以下に要約します。ご参考にされてください。

  • 現時点では、リウマチの患者さんが新型コロナウイルスに対して特にかかりやすいとか、重症化しやすいという報告はない。
  • 同様に呼吸器感染を起こすインフルエンザウイルスでの研究では、リウマチ患者さんや、リウマチの治療薬を使っていると、ウイルスに感染しやすい、ということはなかった。
  • リウマチは継続的な治療が必要な病気なので、自己判断で休薬してしまうと、リウマチの症状が悪化する可能性がある。今まで通り、服薬を続けていただくことが大切。
  • もし、リウマチの患者さんが新型コロナウイルスに感染してしまった場合には、薬剤の服用をどうするか、あらかじめリウマチの主治医と相談しておくこと。
  • 原則的には、ステロイドを服用の方は同じ用量で継続。生物学的製剤やメトトレキサートは一時的に休薬することになる。これは他の感染症の場合と同様。
  • あとは感染症予防。アルコール消毒、あるいは、石鹸による手洗いを確実に。手指の変形がある場合は、液体や泡状の石鹸ハンドソープが良い。特に指先、手指の間を洗うこと。
  • リウマチの患者さんだからといって、必要以上に新型コロナウイルスを恐れることはない。
  • 皆で頑張りましょう。

なお、私は今月(2020年5月)から、山王メディカルセンター院長として、当院の運営に携わり、同時に責任を負うことになりました。診療に関しては今まで通り行いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

今年のゴールデンウイークは、Stay Homeのために各地が閑散とした初めての経験になりました。せっかくの5月の薫風を満喫できないつらい日々が続きます。皆さまにも我慢をお願いせねばなりませんが、一刻も早く新型コロナウイルスを撲滅できますよう、皆で力を合わせていきましょう。

山王メディカルセンター院長 リウマチ・痛風・膠原病センター長
山中 寿

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