新・リウマチ歳時記 Vol.12(2020.7.1)

2020年07月01日 新・リウマチ歳時記

コロナ太りって本当?


毎日、コロナの感染者数のニュースに一喜一憂しているこの頃です。夏のうちに何とか収束してほしいと願うばかりです。

緊急事態宣言が発令されているうちは、受診される患者さんや検診者も少なくて、私の外来も閑散としておりましたが、ここへきてだいぶ増えてきました。「怖くて電車に乗れない」と言われる方もおられますが、以前にも書きましたように、電車は意外に安全なんです。なぜなら、特に朝の通勤時間帯は誰もしゃべっていません。皆さんスマホをいじっています。新型コロナウイルスは主として飛沫感染ですから、感染している人がマスクをせずに大声で話をするとか、大口をあけて談笑し合っているところで感染が広がります。現在、クラスター化しているところのほとんどはそのような環境です。皆さんがお行儀良く静かにしているところでは感染は広がらない。だから朝の通勤電車は比較的安全です。しかし、体が触れ合うぐらいの「密」になると、ちょっと心配ですね。やはり時差出勤や時差通院がお勧めです。私はリモート業務ができない職業ですので、ずっと通勤していますが、今までより1時間早く家を出て、7時前には病院に着くようにしています。

マスコミは盛んに「コロナ太り」を宣伝しています。たしかに自宅にこもりっきりの生活が続くと運動不足になるし、ずっと座ってテレビを見ながら、常に何かをもぐもぐ食べている・・・これではコロナ太りになりますよね。しかし、自粛生活明けの外来患者さんを診察していると、意外なことに「体重が減った」と言う人が多いことに驚いています。統計を取っているわけではないのですが、意外に多くの人が「健康的」になっています。話を伺うと、「今まで夕食の時間がまちまちだったのが一定になり、寝る前に食べることがなくなった」「外で飲食するとお酒が進むが、自宅ではあまり量を飲めない」「運動不足を意識していて、できるだけウォーキングやジョギングをしている」などなど、生活習慣病のある患者さんにとっては、好ましい行動パターンになってきている印象があります。マスコミがコロナ太りと言うから、「この時期に太るのはコロナの責任であって、自分の責任ではない」と思っているあなた。世の中の皆さんは結構、健康的になっていますよ。元来、生活習慣病は、「言い訳がたくさんある病気」です。コロナは必ずしも言い訳にはならないこと、コロナを言い訳にするとコロナに負けたことになる、と思うようにお願いします。

私も時差出勤で早く起きるようになり、そのために早く寝るようになり、早寝早起きの健康的な生活になり、体重も1㎏減りました。コロナの恩恵かな、と思ったりしています。ピンチはチャンスの鉄則を活かし、この際に生活習慣病を駆逐してはいかがでしょうか?

もうすぐ梅雨明け、今年の夏は暑いそうです。くれぐれも健康管理に気を付けてください。

山王メディカルセンター院長 リウマチ・痛風・膠原病センター長
山中 寿

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