治療実績

1)世界におけるナノナイフ治療

表で示した通り、2008年に米国および欧州でナノナイフ治療が行われるようになってから、世界中で1万人以上の患者さんがナノナイフ治療を受けています。
国、地域別に見ると、米国が症例のおよそ半分の5,200例あまりであり、欧州がその半分、アジア太平洋地域がそれについで多くなっています。2016年5月から中国でも使われ始めているので、アジア太平洋地域が最多になるのも近いと思われます。

国別、地域別のナノナイフ治療件数

対象となるがんは当初肝臓がんが多くを占めましたが、現在では膵臓がんの治療に使われることが増加しています。世界におけるナノナイフ治療の対象としては、膵臓がんが最も多く、全体のおよそ半分を占めています。次いで多いのが、肝臓がん、前立腺がんとなっています。

国別、地域別のナノナイフ治療件数

2)日本におけるナノナイフ治療

現在ナノナイフ治療の装置を持っている施設は、山王病院、東京医科大学病院、国立がん研究センター中央病院、愛知県がんセンター中央病院、岡山大学病院、の5つです。そのうち実際に人を対象として臨床応用されているのは、山王病院と東京医科大学病院の2つです。
山王病院では、2016年4月から膵臓がん、肝臓がんに対してナノナイフ治療が行なわれており、2017年11月末までに88例の膵臓がん、2例の肝臓がんに対してナノナイフ治療が行なわれました。
2017年7月14日、15日に京都で開催された、第48回日本膵臓学会で山王病院から発表した、膵臓がんのナノナイフ治療のデータを以下に記します。

演題名

局所進行膵がんに対する経皮的IRE (Irreversible electroporation, NanoKnifeTM) 治療

発表者

国際医療福祉大学 山王病院がん局所療法センター 森安 史典、他

発表内容

1.解析の対象症例

山王病院で2016年4月から2017年6月までにナノナイフ治療がなされた膵臓がん69例の患者さんのうち、治療後4ヶ月以上経過が追えた症例54例を解析対象とした。適応はステージⅢ(膵癌取扱い規約第7版による)の局所進行膵がんとした。

2.解析期間

4~15ヶ月で平均9.3ヶ月であった。

3.使われた電極の針

2本~6本で、平均3.2本であった。

4.通電されたパルス数

110~2,370パルスであり、平均598パルスであった。

5.治療成績

  1. 抗腫瘍効果

    完全奏功 (CR)が3例、部分奏功 (PR)が7例、不変 (SD)が25例、進行 (PD)が19例であった。
    局所制御率は65%であった。局所制御率とは、不変 (SD)以上の効果があった症例の内訳であり、がんの増大を押さえたか、画像上がんを縮小ないし消失させた効果の割合である。

    局所制御率(LCR)
  2. 副作用

    合併症としては下の図のように認めた。グレード3(治療を必要とし症状は治ったが、そのために入院期間が延長した)の合併症を10例に認め、グレード4(内視鏡治療などの特殊な治療を必要とした)の合併症を1例に認めた。

    合併症(全症例69例)

6.まとめ

膵臓がんのナノナイフ治療は、一定の副作用はあるものの、抗腫瘍効果に優れ、長期延命につながる治療法と言える。

7.実際の症例

治療前にはグレーの領域としてがんは認識でき、血管に接しており外科切除が難しいと言われる。ナノナイフ治療1週後には(右上)、がんはより黒く見られ壊死傾向ありと言える。治療1ヶ月ではかなり小さくなり、4.5ヶ月後にはがんの影は消失している。

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