合併症

1)治療中に手術室で見られる合併症

1.不整脈

膵がんの部分に刺した針の間には多くの電流が流れますが、そこから10~20cm離れた心臓にも電流が流れます。そのため心房細動しんぼうさいどうや心室細動しんしつさいどうなどの不整脈が起きることが動物実験で報告されています。これらの不整脈が起きないように予防します。心電図をモニターして不整脈が起きにくいタイミングのみに電流を流す、「心電図トリガー」という方法を使い、不整脈が起きないようにします。
ヒトでナノナイフによって心室細動が起きたという報告はありませんが、万が一心室細動が起きた場合には、除細動器を使い電気ショックによる処置がすぐにできるよう準備しておきます。

2.高血圧

ナノナイフの電流を流しはじめてしばらくすると、多くの場合血圧が上がります。ときに最高血圧が200近くに上がることがあります。その場合には血圧を下げるくすりを点滴の中に入れて治療します。血圧が下がるまで、電流を流すのを止めて数分間待つ場合もあります。
血圧が上がる原因は良く分かっていませんが、電気刺激によって交感神経が刺激されるためと考えられます。

3.出血

ナノナイフ治療が終わると針を抜きますが、針穴から出血することがあります。
治療が終わって、ナノナイフの針を抜いた後、10分間皮膚の上から手で圧迫して出血しないようにします。

2)治療後に見られる合併症

1.腹痛

ナノナイフの治療が終わり、麻酔から覚めた後に腹痛を訴える患者さんが20~30%に見られます。痛みの程度は患者さんによって異なりますが、強い痛みを訴える場合もあります。通常は鎮痛剤の座薬や注射で治まりますが、麻薬などの強い鎮痛剤が必要な場合もあります。
痛みの原因はよくわかっていません。膵臓の周りには多くの自律神経が走っており、ナノナイフの刺激で痛みとして感じるのではないかと考えています。ほとんどの患者さんで、この痛みは1-2日で治ります。

2.膵炎

ナノナイフで通電する範囲に正常の膵臓も一部含まれるため、正常の膵臓の細胞が障害を受け、膵炎が起きることがあります。膵癌のナノナイフを行った患者さんの10~20%に見られます。そのため、予防的に膵炎の治療薬を注射して予防します。それでも膵炎が起きた場合は、絶食して膵臓を休ませ、点滴で栄養を補給します。そのため入院期間が1-2週間延びることがあります。

3.出血

ナノナイフ治療後、1週間から1ヶ月経過して十二指腸から出血することがあります。ナノナイフ治療によって細い動脈が障害され、仮性動脈瘤を作って十二指腸に出血するためです。頻度は10%以下ですが、出血量が多い場合にはカテーテルを使って止血術を行います。

4.血栓

膵がんはしばしば門脈という静脈に浸潤します。膵がんをナノナイフで治療すると浸潤した門脈の中に血栓(血液が固まったもの)を作ることがあります。血栓が大きくなると門脈の血液の流れが悪くなるので、血栓を溶かす薬を点滴や飲み薬で投与し、治療する必要があります。

5.膿瘍

膵がんが十二指腸に浸潤している場合、がんをナノナイフで治療すると、がんが壊死し、そこに細菌が入り膿瘍(感染)を作ることがあります。抗生物質を投与して治療します。

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