Vol.6 インフルエンザワクチンの接種にお悩みでしょうか(2023.11.28)

2023年11月28日 ワクチンコラム

インフルエンザワクチンの接種にお悩みでしょうか

インフルエンザワクチンは、インフルエンザに対して約60%の発症予防効果があり1)、乳幼児における重症化を防ぐ効果も報告されています。
厚生労働省は手指衛生や適度な湿度の維持、こまめな換気とともに、ワクチンの接種を推奨しています。日本小児科学会でも発症予防効果やインフルエンザによる入院を減らす効果があることからワクチン接種を推奨しています。

しかし、今年度はインフルエンザの流行が早い時期から始まり、すでに感染してしまった場合にワクチンを受けるべきか迷われているご家庭が多いのではないでしょうか。
現時点ではこのような場合のワクチン接種に対して日本小児科学会からの見解は出されていませんが、感染症を専門とする医師のほとんどはインフルエンザ感染後もインフルエンザワクチンを接種することを推奨あるいはデメリットはないとしています。

下記のようにすでに2種類のインフルエンザA型が流行しており、一度感染した後も同年度に他の種類に感染する可能性があります。また、今後B型が流行する可能性もあります。一方で、インフルエンザワクチンはA型2種類、B型2種類の計4種類の株から製造されますので、一種類に感染した後もワクチンの効果を期待することができます。

国立感染症研究所HPより転載(2023年11月16日)

インフルエンザ感染後は、他の有熱性感染症と同様に解熱後1週間あけて、通常どおりの接種間隔でインフルエンザワクチンを接種されることをお勧めします。
また、日本では6か月以降のお子さんからインフルエンザワクチンの接種が可能ですが、接種すべきか悩んでおられるご家庭も多いと思われます。ご兄弟がいらっしゃるかどうか、保育園等の集団生活を始めているかどうかなど、お子様の状況によってワクチンの有益性は大きく変わりますので、接種の要否にお悩みの場合には当科外来にてお気軽にご相談下さい。

なお、山王病院小児科ではお子様のインフルエンザワクチン接種と同時にご両親の接種も可能です。ご希望される場合にはご予約時にお申し付け下さい。ただし、ご妊娠中の方の接種は行っておりません。

接種料金は下記をご参照ください。

インフルエンザ予防接種開始のお知らせ | お知らせ | 山王病院 (sannoclc.or.jp)

港区内にお住いのお子様は港区の助成を受けることができますので、港区子どものインフルエンザワクチン任意接種予診票をお持ち下さい。持参されない場合には自費となり、また後日払い戻しはありません。

山王病院では経鼻弱毒生インフルエンザワクチンは採用しておりませんが、不活化ワクチン(注射)と経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの併用は問題ないとされております。接種間隔については個別に確認させていただきますので、ご不明な点は小児科外来またはお電話にてご相談下さい。

■小児科のご予約 03-6894-5050 月~金8:50~11:30、13:00~16:00
■ご予約・診療に関するお問い合わせ 03-6864-0489 月~土8:30~17:30(日・祝・年末年始除く)

参考文献
1)平成28年度 厚生労働行政推進調査事業費補助金(新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業「ワクチンの有効性・安全性評価とVPD(vaccine preventable diseases)対策への適用に関する分析疫学研究(研究代表者:廣田良夫(保健医療経営大学))」