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低侵襲内視鏡手術センター

<図1>腹腔鏡と内視鏡を用いた手術風景:内視鏡医と外科医が同じ画面(ハイビジョンの画面です)を確認しながら、消化管の内側と外側から手術を進めます。

当院では、患者様に身体に対する負担の少ない治療法を選択していただけるよう、内視鏡や腹腔鏡・胸腔鏡を用いた治療を行っています。小さな手術創で治療を行うことにより、出血が少なく術後の痛みも軽いので、入院期間の短縮や早期の社会復帰が可能です。当センターは、ひとつの診療科だけで担当するのではなく、外科・呼吸器外科・リプロダクションセンター・婦人科・泌尿器科・消化器内科を中心に診療各科が連携を取り合い、よりよい治療環境を整えながら運営しています。

もともと検査のための装置であった腹腔鏡を使用した手術は、日本では二十数年前から行われるようになっていますが、内視鏡外科手術を受けている患者様の数は年々増加しています。この治療法は患者様の身体に対する負担が小さいので、胆石症、子宮筋腫、気胸などの治療では、腹腔鏡や胸腔鏡を用いた内視鏡外科手術を選択することが顕著に増加してきました。症例数が増加するにしたがって機器の改良が進み、さらに安全・確実な手術が行えるようになってきています。現在では状況に応じて、がん治療でも低侵襲手術を行うことが増えてきました。

<図2>手術創の例:通常の胃がんの手術では、黒破線のように上腹部に長い傷ができます。腹腔鏡による手術では、約5cmの傷が上腹部に、その他に5か所の刺し傷ができる程度です。最新の腹腔鏡内視鏡合同手術では、ほとんど目立たないおへその傷だけで手術が可能になってきました。

食道や胃・腸に発生したがんに対する内視鏡治療は、内視鏡的粘膜切除術(EMR)に始まり、その方法もさまざまな工夫と改良が加えられてきました。さらに、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)では、より広い病変に対して切除が可能となり、内視鏡治療の適応範囲が拡大しました。現在では、内視鏡治療と内視鏡外科手術との利点をあわせた腹腔鏡内視鏡合同手術も行われています<図1>。このような治療により、体表の傷はここ数年で格段に縮小され<図2>、患者様に対する負担が着実に軽減してきています。


消化器領域(一般消化器外科)

当院では、消化器疾患に関しても、患者様のご希望とご病気の状況に応じて積極的に低侵襲治療を提言しています。胆石症や胆のうポリープに対しては一般的に腹腔鏡下胆のう摘出術が行われていますが、特に当院においては、おへその傷一つから行う胆のう摘出術『単孔式腹腔鏡下胆のう摘出術』を基本としています。本術式を開発したメンバーの一人である、第一人者の渡邊五朗医師を中心に診療にあたっており、患者様の術後回復が速やかであることはもちろんですが、手術痕がほとんど目立たないことで好評をいただいています。

胃カメラや大腸カメラで治療可能な進行度を超えている胃がん・大腸がんに対しては、患者様の状態と病気の進み具合を検討し、腹腔鏡での手術が可能と考えられた患者様には、手術方法の選択肢の一つとして腹腔鏡下手術を提案しています。通常の200mm超の開腹創(きず)に比べて、50mm程度の小開腹と数か所の刺し傷のみで手術を行いますので、術後の痛みが軽いことから早期の離床が図りやすくなり、術後の回復と社会復帰が速やかになっています。

胃に発生する悪性腫瘍の一つである消化管間質系腫瘍(GIST)などに対しては、手術中に内視鏡を用いて切除範囲を必要最小限に止める工夫をした手術、『腹腔鏡内視鏡合同手術』を行います。病変を切り取る際に胃の内側から内視鏡で確認することで、安全・確実に病変を取り除き、かつ不要な部分は極力切除しないようにすることが可能となります。

さらに、当院に導入した手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」を使用した低侵襲治療に関しても、消化器疾患に対する手術で使用することができるよう準備を進めています。

手外科領域(整形外科)

(図)関節鏡視下にTFCCを尺骨に縫合するオリジナル術式※
※出典:Nakamura T ; Repair of foveal detachment of the triangular fibrocartilage complex: open and arthroscopic transosseous techniques. Hand clinics. 2011, 27(3):281-90.

手と肘の内視鏡視下手術は、近年さかんになってきている術式です。創(きず)が小さいので患者様の身体への負担が少なく、復帰までの時間も従来の手術に比較して非常に早いため、特にスポーツ選手などに適しています。

手の内視鏡下手術の対象疾患としては、TFCC*損傷、橈骨遠位端関節内粉砕骨折、手関節炎、変形性手関節症、手関節拘縮、母指CM関節症、舟状骨偽関節などがあります。また、関節外内視鏡の対象として、手根管症候群(母指から薬指へのしびれ、母指の対立障害を生じます)があげられます。

特にTFCC損傷は、手首の小指側に存在する線維軟骨-靭帯複合体に生じる損傷で、転倒やスポーツ障害によって単独に生じる場合と橈骨遠位端骨折に合併する場合が多い、頻度の高い疾患です。手首の小指側の疼痛・運動痛や回内外制限、手関節の緩みなどの症状を訴え、日常生活に支障をきたします。診断と治療には内径1.9mmの小関節鏡が必須で、TFCCを鏡視下に縫合(図)または部分切除します。一方、肘関節鏡視下手術は肘関節炎、肘関節内遊離体、野球肘(上腕骨離断性骨軟骨炎)、テニス肘、肘関節拘縮などが対象となります。

当院は、内径1.9mm 、2.7mm 、4.0mmの各種内視鏡を取り揃えており、1.9 〜2.7mmの小関節鏡を用いての手と肘の関節鏡下手術では、世界屈指の症例数を誇ります。手根管症候群に対する内視鏡視下手根管開放術は、2か所の術創より器具を挿入して行う2-portal法を行っており、安定した手術成績を得ています。

(*)TFCC :triangular fibrocartilage complex 三角線維軟骨複合体

ダ・ヴィンチによる前立腺がん手術(泌尿器科)

2015年7月より、前立腺がんを対象に手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ(Si)」の稼働を開始しました。前立腺は骨盤深くにある臓器で、前立腺全摘除術は泌尿器科領域の手術では最も難しい手術のひとつにあげられますが、ダ・ヴィンチを使用することで、微細な血管や神経を傷つけずに温存することができるようになりました。従来の前立腺手術後の課題であった、術後の尿失禁と性機能については、ダ・ヴィンチを使った手術ではいずれも明らかに術後早期に回復し、有意に優れていることが証明されています。当院では、「ロボット(da Vinci Si)手術認定医」と日本で数少ない「泌尿器ロボット支援手術プロクター(手術指導医)」の資格を持つ専門の医師が執刀いたします。

呼吸器領域(呼吸器センター)

胸腔鏡下手術は、胸部の約20mmの小さな創(きず)から、直径10mmほどのカメラを挿入し、胸腔内の状態をモニターで観察しながら行う手術です。他の創から器具を挿入し、肺の病変部を含む部分切除や肺葉切除を行います。手術の傷が少なく、術後の痛みも少ないため回復が早く、入院日数も短くてすむ(平均在院日数:肺がん6.3日、がん以外4.2日)など、多くの利点があります。

婦人科領域(リプロダクション・婦人科内視鏡治療センター)

不妊治療の検査・治療中には、子宮筋腫や卵巣のう腫などが見つかることがあります。また、最近増加している子宮内膜症も、骨盤腔内の癒着を高率に引き起こして不妊症の一因となります。そうした場合、手術によって筋腫やのう腫を摘出したり、癒着を解除したりすることが必要ですが、当院では腹腔鏡手術と子宮鏡手術の両方を実施しています。

  • 腹腔鏡手術対象疾患:子宮筋腫、卵 巣のう腫、卵管や骨盤内の癒着など
  • 子宮鏡手術対象疾患:子宮内膜ポ リープ、粘膜下子宮筋腫など